2021年04月01日
▼労働者派遣の正しい流れ
1.「派遣」の働き方について
「派遣」は、直接雇用とは異なる働き方です。
派遣労働の場合、よく雇用主は誰か?ということになりますが、派遣の雇用主は“派遣元事業主”です。
これは労働者と労働契約を結ぶのが、“誰か”によって変わるためです。
直接雇用の場合…雇用される会社と直接労働契約を結びます。
派遣の場合…派遣元事業者と契約を結び、その後実際に働く会社へと派遣されます。
実際に業務に従事する会社自体とは、労働契約を結んでいないというのがポイントです。
※労働基準法などの労働基準関係法令などについては、一部は派遣先が責務を負いますが、基本的には派遣労働者の雇用主である派遣元事業主が責務を負います。
<解雇について>
派遣元事業主は、有期労働契約を更新しない場合(雇止め)のルール、解雇に関するルールを守らなければなりません。
なお、派遣元事業主と派遣先との間の派遣契約と、労働者と派遣元事業主の間の労働契約は別の契約であり、派遣契約の解除がそのまま労働契約の解除となるわけではありません。
2.「派遣」で禁止されてること
◆派遣が禁止されている業務
適用除外業務は以下の業務です。
建設業務、港湾運送業務、警備業務、医療関係業務(一部を除く)
◆派遣先となる会社との事前面接禁止
派遣先となる会社は、派遣労働者を指名することはできません。
職業能力以外で選別が行われることを防ぎ、派遣社員の職業機会を守るためです。
(※労働者派遣法第26条第7項で禁止)
そのため、面接だけでなく派遣先への“履歴書の送付”も禁止されています。
※但し、紹介予定派遣の場合や本人が希望する場合は認められています。
◆元の勤務先への派遣の禁止
以前働いていた会社で、離職後1年以内に派遣労働者として働くことは禁止されています。(正社員だけでなく、契約社員・アルバイトなども含む)
※以前A社へ派遣され、派遣終了後1年以内に再度A社に派遣されることは可能です。
3.「派遣」で働く前に知っておくべきこと
派遣元事業主のマージン率や教育訓練に関する取組状況は派遣元事業主のホームページなどで確認できます。派遣元事業主を選ぶ際の情報として活用してください。
一方、「マージン率は低いほどよい」というわけではなく、福利厚生費、教育訓練費なども含まれているため、他の情報を組み合わせ、総合的に判断することが必要となります。
4.「派遣」で働くときに気を付けること
◆労働条件、派遣料金額、就業条件の明示を受ける
派遣元事業主から下記の明示を受けましょう。
・労働契約を締結するときに労働条件の明示
・派遣就業を開始するときに派遣料金額の明示
・就業条件の明示
※社会保険・労働保険の加入手続きは派遣元事業主が行います。未加入の場合には、派遣元事業主から理由の通知があります。
◆年次有給休暇、育児休業の取得可能
派遣の場合でも、年次有給休暇や育児休暇は取得できます。
派遣でも労働基準法、男女雇用機会均等法などの労働関係法令が適用され、これらの法律の責務は派遣元事業主と派遣先で分担されています。
年次有給休暇の付与などは派遣元事業主に責務があります。
◆事業所単位・個人単位の期間制限があります
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です。(派遣先が事業所の過半数労働組合などからの意見をきいた場合は、3年を超えて派遣を受け入れることが可能です)
また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に対し派遣できる期間は、3年が限度です。
◆トラブルが起こった場合
派遣元事業主と派遣先に、それぞれ相談を受ける「担当者」がいます。働いている際にトラブルが起こった場合、担当者に相談をしてください。
事前に各担当者の連絡先は確認しておきましょう。